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2015年10月11日 (日)

手の怪我なのに、骨盤調整を重視する理由(痛みがある所だけを治療してもすぐ再発する理由改題)

日本人には猫背が多いと言われます。確かに、一見、猫背の方は多いです。

でも、実際にきちんと検査をしてみると、純粋な猫背(骨盤が後傾して肩が前に出ている)の方は結構少ないです。

猫背(骨盤が後傾)なのに胸が沿っていて首が前にでているという、猫背と反腰の複合パタンの方
フラットバック(背骨のカーブがない)で、胸と首が前にでているという、猫背とフラットバックの複合パタンの方

など、さまざまです。

なぜ、こんなことになってしまうかというと、腰のゆがみが原因でおきている姿勢や動作・痛みといった不調を、腰ではなくて、胸や肩甲骨、首、頭、手首といった、別の関節をゆがませることで動作や姿勢を補うという「代用運動(本来の関節・筋肉の動きとは異なる動き)」が起きるためです。

※4年ほど前にアマチュアミュージシャンの方向けに書いた記事の焼き直しです。読んでいる方はごめんなさい。

例えば、腰が反りすぎているとします。

おしりが上につきあがって、一見、とてもプロポーションが美しく見えます。

ハイヒールというのは、強制的に腰を反らせて反り腰に見せるための道具です。

わざわざ道具を使ってまで反り腰に見せるくらいなので、多くの女性は、反腰=ものすごくカラダに悪い、という印象はあまりなく、反り腰に気がついても、治さなきゃ!という意識になる方は少ないようです。

ところが、この反り腰、放っておくと、猫背よりも全身症状が急速に広がります。

どれだけカラダに悪いかを実感するために、ちょっと実験をしてみましょう。

1)普通に、椅子に座って、パソコンのキーボードに手を置きます。
2)骨盤を思い切り前傾させてみます。上手にできない場合、へそを前に突き出して肩を後ろに引いてみてください。
3)このままの姿勢で、キーボードを打ちます
4)骨盤を思い切り後傾させてみます。上手にできない場合、椅子の背もたれによりかかって肩を前に出してみてください。
5)このままの姿勢で、キーボードを打ちます

さて、骨盤を前に傾けた時と、後ろに傾けた時で、どちらの方がキーボードの打ち方にどう変化があったでしょうか。

反腰の状態(骨盤が前傾)の時は、肩とヒジが固定されて、手首と指だけでキーボードを打っていたはずです。打つスピードはこの方が早くなります。

猫背の状態(骨盤が後傾)の時は、キーボードを打つ時に、肩とヒジが左右にゆれているはずです。打つスピードはこちらの方が遅くなります。

反腰は肩甲骨や肩をブロックするため、反腰のままで手首や指先を動かすと、手首と指の関節だけを集中して動かすことになります。細かくて繊細な動きができるため、ギタリストやイラストレータ、CADデザイナー、外科医といった細かい指先のコントロールが必要な方の多くが、反腰になりがちです。

しかし、これ、解剖学的には大間違いです。

本来、人間が指先で細かいコントロールをするためには、その動きの振動や腕の重さは、肩甲骨で支える物です。手首で支える物ではありません。

そんなことをしていては、腱鞘炎の元です。ひどくすると、筋ジストニアにもなりかねません。

超一流のオーケストラにいる弦楽器奏者の動きを見ると分かりますが、彼らは一日何時間もの練習を、怪我をせずにこなすために、きちんと肩甲骨で腕をささえ、指先のコントロールからくる振動を腰と肩甲骨で受け止めています。

高円寺という街は音楽が盛んです。当院にも、ギタリストの患者様が多数来院します。

多くの方が手首の腱鞘炎で悩まれています。

鍼や電気治療で手首の炎症を軽減し、固定をしていることで、腱鞘炎そのものは短期間で軽快していきます。

しかし、反腰で、肩甲骨と肩をブロックし、ヒジから先だけで細かい作業をしていては、あっという間に再発します。

まずは反腰を解消すること。

そして、その後は、ご自分が楽器を弾く姿勢を根本的に直し、手の重さと振動をを手首・ヒジではなく、肩・肩甲骨で吸収できるようにしていかなければいけません。そして、さらに、背骨の両脇にある最長筋が肩甲骨の重さを支え、腰で重さ・振動を分散できるようにする必要があるのです。

もちろん、ここまで徹底してカラダ作り方の改造をしなくても、腱鞘炎は治せます。でも、すぐ再発します。

本気で治したい、再発させたくない、一生楽器を弾いていきたい、そう思っている方は、是非、しっかりと腰のゆがみから矯正していくことをお勧めします。

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