僕が有名人じゃなかったら治療しないんですか、ふざけないでください
医療機関で、クレジットカードで支払いができるところが増えていますよね。
日本では、健康保険による診療行為は現金で、その時に、支払ってもらわなければいけないという決まりがあるそうです(法律を調べたことはないのですが、保健所にそう指導をされています)
クレジットカードで支払いができるのは、物販や自由診療の料金分です。美容整形や、うちのような予防医学は健康保険が使えないので、クレジットカードや回数券を導入することができます。
で、なんでこんなことを書いているかというと、この「クレジットカードで医療費を払う」ことで、先日、ある方から面白い話を伺ったのです。(ご本人の了解を得て書いています)
この方、海外に取材に行って、帰国の際に、うっかりと成田から、財布やカードケース一式を宅急便で送ってしまったそうです。疲れていたのか、翌朝、起きた時にぎっくり腰で、ベッドで悶絶。近くの整形外科に電話をして「お金がないけれど行っても良いですか」と聞いたのだそうです。
身分証明書を持参してもらえれば、後日払いにきてくれれば良いですよ、と言われたので、這うようにして病院に行ったそうなのですが、受付で保険証を出そうとしたら、無い!持ってきたはずなのに、なかったそうです。
金はない、身分証明書はない、でもクレジットカードをもっていたので、クレジットカードで払わせてくれ、と受付に懇願したところ、にべもなく、怪我はクレジットカードでは支払ってもらえないと断られて、クレジットカードでお金をおろせるのではないか、と言われたのだそうです。
でも、あまりの痛みでつらかったので、治療してもらってからATMまで行かせてほしいとお願いをした、その瞬間に、帽子とサングラスを外したら、受付の方が「あ、○○さん!お身元の確認ができますから、後日で良いですよ」と態度を変えたんだそうです。
で、この方、どうしたと思います?
なんと、激痛でつらかったけど、怒りで痛みがまぎれたので、そのまま、治療を受けずに帰ったのだそうです。
夕方まで家で休んでいたら、宅急便が届いたので、財布と保険証をもって、別の整骨院に行って、そこで治療を受けたそうです。
これだけの痛みで、必死になって病院に来ている患者に、身元確認ができないから先に金を降ろせと言う態度には、腹は立ったものの、自分が悪いのだから仕方がない、と思えたそうです。
でも、自分が、有名人である、ということで「身元の確認ができる」と言されたことに対しては「自分がどういう人間だか確認できるわけでないのに、有名人なら診るというのか、患者を差別するのか」と、猛烈な怒りがわいたのだそうです。
この話を聞いて、ああ、この人、本当に倫理観が高い人なんだなあ、と思うと同時に、ぎっくり腰は数分でも早い治療を受けたが再発予防には良いんだよね、と思ったりしました(笑)
わたし達医療従事者の中には、「医療サービスは、相手が誰であるか、ということで差別があってはいけない」という意識を持っている人は結構いると思います(中には、この受付の人のように、変な人もいるとは思いますが)
でも、医療従事者以外で、この意識をもっている人がどれくらいいるでしょうか?
医療とはこうあるべき、という高い倫理感をもった患者が、おかしな医療サービスにしっかりと「それは変です」というようになることが、医療の品質を上げるためには、とても大切だと思います。
この男性、まだ、医療や介護分野を舞台にした作品は書かれていないそうなので、ぜひ、次回は医療現場を舞台にした作品にしてくださいよ!と言ってみました。
おまけ
当院は、現在はクレジットカードを導入していません。今度、患者様に、クレジットカードとSuicaのどちらが良いかFacebookでアンケートをする予定です。その際は、ぜひご協力ください!
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