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2010年11月 3日 (水)

柔整師、柔整学生に質問です「柔道整復術って何ですか?」

整骨院を開設するための国家資格を「柔道整復免許(じゅうどうせいふくめんきょ)」と言います。この免許資格を持っている人のことを「柔道整復師(じゅうどうせいふくし)」と言います。

高卒以上の人が、3年間専門学校に通い、国家試験に合格した場合に付与される資格です。

学費は、鍼灸師や鍼灸マッサージ師とだいたい同じで、比較的安いところで3年間で400万円、高いところですと入学金込みで600万円程度かかります。

この資格を持っていると、健康保険適用で骨折、脱臼、打撲、捻挫といった外傷治療をすることができます。健康保険適用にはなりませんが、柔道整復術を使った施術を医療行為として行うことができ、患者は医療費控除の対象として申請をすることができます。

さて、では、柔道整復術ってなんでしょう?

今日のタイトルは「柔整師、柔整学生への質問」です。そう、この質問、柔整関係者に向けて聞いているんです。

柔道整復術って何ですか?

本当に情けないことですが、おそらくここ25年以内に柔整師になった人の多くは、この質問に答えられない割合が多いはずです。

なぜなら、専門学校の基本カリキュラムから、この本来の基本の基本「柔道整復術とは何か」「柔道整復師とは何ができる人であるべきか」が外れたからです。そして、多くの柔整師が、教えてもらわなければ、自分自身で積極的に調べない、といういい加減な対応をしてきたからです。

また、私自身は、専門学校が入学基準から柔道の経験を外し、入学後も極めていい加減な柔道の授業しか学生に課さなかったことも大きな原因だと確信しています(真剣に柔道-じゃなくても格闘技であれば何でもいいですけど-をやってれば、こんな質問、簡単に応えられますから)。

柔道整復術って何ですか?

そう聞くと、骨折や脱臼等の外傷を手だけで治す技術です、という人がいます。

本当にそうですか?柔道整復法にはなんて書いてありますか?

柔道整復法をきちんと確認しましょう。確認してみれば、柔道整復師とは「柔道整復法を使って施術をする人」であって、外傷を健康保険適用で診ることができるのであって、柔道整復術の適用範囲が外傷に限られる等とは全く記載されていないことが分かるはずです。

さて、スタートラインに戻ってしまいました。

柔道整復術って何ですか?

筋骨格を整復(正しい位置に戻す)術であるということは、なんとなく推測がつくと思います。正解です。

さて、では「柔道」という名前がわざわざついている理由はなんでしょうか?

Twitterで何人もの学生に聞いたら、全員が口をそろえて「柔道は怪我をしやすいスポーツで、その怪我を治すために作られた医学だから」という回答でした。

あまりにも全員が同じ回答をするので、そんな嘘を専門学校が教えているのかと心配になって教科書を確認してしまいましたよ。(そんなことなかったですけど。)

柔道も確かに関節技等を使うため、怪我が多いスポーツです。しかし、それは少林寺拳法だって、空手だって一緒です。

江戸時代は柔術家と拳法家(どちらも、もちろん武士です)がいて、2大勢力を誇っていたそうです。これを明治に入って、東洋医学全廃運動に抵抗してまとめあげたのが柔術(柔道)家だったため、現代では「柔道整復」と言います。が、もともとは柔道に限定されていた技術ではありませんし、柔道の怪我を治すための技術でもありません。

戦国時代の文献に、敵に適用する殺法(さっぽう)から、殺傷能力を取り除き、味方や自分自身の怪我の手当てや戦場でのパフォーマンスを上げるために開発した技術が「活法(かっぽう)」または「活法正復(かっぽうせいふく)」として登場します。

これが、柔道整復術の起源です。

活法は戦場または稽古場での施術ですから、静止している身体の状態を整えるのではなく、施術を受けながら、受け手(以下、患者といいます)は身体を動かし、動きが安定するか、改善するかを指標として施術をしていきます。

逃げようとしている敵の腕を掴み、逆方向にねじり上げる。このように、敵・患者の身体の動きと逆方向に力を加えることを「導引(どういん)」と言います。これを悪用(殺法として利用)すると、脱臼させることができます。

腕を振り払おうとして回旋させた肩を、回旋の向きと同じ方向に意図しているよりも大きな範囲で動かさせる。このように、敵・患者の身体の動きと同方向に力を加えることを「操法(そうほう)」と言います。これを悪用(殺法として利用)すると、、腱を切断したり、関節の粉砕骨折をさせることができます。

相手の動きを確認し、相手がどちらに身体を動かすか、どういう動きの癖があり、どの程度の筋力・関節の可動域があるかを瞬時に見極め、最小の力で相手の筋骨格にダメージを与えていく。

この、殺法の技術を、相手にダメージを全く与えず、動きの改善や筋骨格のゆがみの解消に応用し、味方と自分の戦力を最大化するために応用する。

ゆがんでいる身体では、正しい型を取ることができませんから、正しく型を取らせるためにゆがみを解消します。

しかし、中には片腕を失った人等もいるため、ゆがみを解消できないのであれば、ゆがんでいるなりに最大のパフォーマンスを発揮させるために身体を整えます。

それが活法です。

戦場で、生きるか死ぬかのパフォーマンス改善のための技術ですから、活法には、慰安的要素が全くありません。

なので、ちょーっと、現代人には、ヘビーなのかもしれません。(実際、うちで施術する時には、かなり手心を加えて、施術しています。)

また、真剣に活法を教えるためには、どうしても殺法としての柔道(または何か別の武道)を教える必要が出てきます。

これも、国が国家資格として認める教育課程にはふさわしくありません。

しかも、そんなことを教えなくても、骨折・脱臼・捻挫といった外傷の治療だけであれば、身体を固定させて決まった手順で施術をするように教えるだけで覚えられます。

こうして、専門学校の授業が、どんどん矮小化されて行きました。

きちんと、武術(殺法の応用としての活法)を教えない。それでいて、身体を読むための理論(動作分析や歩行分析、運動学、物理学)も教えない。(看護師やPT・OTの授業でも、力学を教えないので、運動学・物理学の軽視は、現代日本の医師以外の医療系国家資格全体の問題ですけどね。。。)

だいたい、入試に生物はあっても物理と数学がある専門学校はほとんどゼロ。

物理学の基礎も分からない、数式も読めない学生が、理論から、導引や操法を理解することなんかできるわけもありません。(受験に物理がないことに対しては、整骨院における臨床では著しい不具合を起こすので、別途、記事にまとめたいと思います)。

だとしたら、3年間、徹底的に、真剣に柔道をやらせるのが一番の近道のはずです。

でも、やらせない。多分、そんなことやらせたら、人気がなくなって、入学生が集まらないんでしょうね。

そんな授業しか受けず、国家試験では理論が中心。

だから、肩関節の拘縮を取り可動域を広げるために、腕をどの角度にひっぱり、どの角度で回旋させればよいかが分からない。分からないから、患部を安易にマッサージをする。そして、あん摩マッサージ指圧師の業法違反だと批判されるわけです。

そして、こんなことを何十年も続けてきて現在、多くの柔道整復師が、自分達は骨折脱臼捻挫以外の治療をする資格がない、と勘違いをするようになっています。

下手をしたら、専門学校の教員のなかにも、活法とはどういうものであり、本来の柔道整復術とはどういうものであるのかを知らない人がいるかもしれません。

そんな教員の下で、きちんとした柔道整復術(活法)が伝承されるはずもありません。そして、昨今は、徒弟制度を嫌がる学生が多いので、きちんと技術を持った術者から技術を盗むという風潮も廃れてしまいました。

活法には、筋骨格を整えた後に全身の血流を整えるために、患者に静止してもらい、全身の筋肉を軽く擦る技法があります。それ以外は、基本的には患者に、アプローチしている筋肉を意識してもらいながらの施術になります。患者が脱力していることを前提としたマッサージとは、根本的に異なる施術です。

全国の柔道整復師、柔道整復課の学生各位、そろそろ、保険をつかった違法マッサージ屋などと呼ばれる、自虐的なことを止めましょう。

わたし達には、何千年もかけて蓄積してきた、活法、活法整復という技術があります。

そして、この技術は、長時間のデスクワーク等で拘縮した筋骨格に対して、本当に高い効果を発揮します。

柔道整復術(活法)を駆使することで、からだのゆがみを調整し、パフォーマンスを改善し、動ける身体を作り上げることができるのです。

誇りを持って、日々の治療にあたることができるように、真剣に、柔道整復術とは何なのか、本来自分は何ができるべきなのか、そして今かけている技術が何なのか、を見つめ直し、そして、欠けている技術や知識があるのであれば、一緒に解消していきましょう!

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