« 生理痛、月経前症候群(PMS)の治療方法 | トップページ | 食べ慣れた食材を食べると言うこと »

2010年8月15日 (日)

ニキビ治療に腰痛の薬を処方する、のは確かに変だけど・・・

漢方を真剣に勉強している皮膚科医の知人がいます。

私が「高円寺で健康保険を使わない自由診療だけの治療院を始めた」と話すと「精神的に随分と楽でしょうね」と溜息混じりに言うのです。

「あー、また、不支給があったんだー」と言うと「調査票とか年中で、対応が大変でねえ」とのこと。

ここまで読むと、医療従事者ならピンと来ると思いますが、患者さんには、分かりにくいですよね。

健康保険を使って医療サービスを受けた場合、医療機関は患者の窓口負担分以外の金額を健康保険組合や国民健康保険から受け取ります。(実際には、その代行をしているレセコン会社から受け取りますが。)

この保険組合というのが、東洋医学ベースで医療をしていると、結構くせ者でして・・・・

健康保険で使うことができる漢方薬というのは実は結構たくさんの種類があります。

ところが、実際に医療現場で使われる漢方薬の種類はとても限られます。なぜかというと、本来の漢方薬の効果の目的通りに使うことが難しいからです。

例えばこの皮膚科医の場合、PMS(月経前症候群)としてニキビ・吹き出物が悪化する体力中程度の女性に対しては、女神散(にょしんさん)という漢方薬を処方することがあるそうです。

しかし、この女神散(にょしんさん)は、保険制度上で認めらられている適用が「更年期症候群、産前産後の神経症、月経不順、不眠症、頭痛、神経症、自律神経失調症、腰痛」だけ。

皮膚科医がニキビ治療で処方するのは、保険制度上は「??」なわけです。

でも、本来の女神散(にょしんさん)の効用は、血行と水分循環を改善し、また、気のめぐりをよくして神経の不調を治すというものです。「気血水」のバランスが乱れてしまったことによる不調を調える作用が強い漢方薬なわけです。

ですから、PMSの時のニキビに処方するのは全くおかしくありません。

でも、保険組合はそんなこと知りません。ですから「処方が変ですよ。間違えていませんか?」と問い合せが入るわけです。

この対応が、まー面倒くさい。場合によっては、保険者が支払ってくれないということまであります。

窓口では患者さんから3割しかもらっていない。残り7割は支給されると期待していたら支給されない・・・・

医療機関が何か悪いことをしているというわけでもないのに、こんなことが繰り返されると、バカらしくなっちゃいます。

で、どうするか、というと「選択肢1:カルテを改ざんするようになる」んです。

本来は頭痛がない患者さんなのに、女神散を保険適用で処方するために、カルテに「頭痛」と書く。そうすれば、保険者は文句言いませんからね。

でも、ない症状をあると書いたら、その後の医療行為に支障が出ます。医療事故を引き起こしかねません。だから、これは絶対にやらない、という人も多いです。

漢方の勉強をほとんどしたことがなく、薬のメーカーが渡した小冊子を片手に「この症状ならこの漢方薬」と症状に基づいて漢方薬を処方している医師であれば、保険適用が許可されている目的以外に漢方薬を使う方法も知らないわけですから、こんな悩みは持ち得ません。

真剣に勉強していて、良い処方をできる医師だけが悩まなければいけないなんて、おかしな制度ですよね。

患者さんの立場に立つと、医療システムは複雑で、なんでこんなことも出来ないんだろうと思うことが多々あると思います。

でも、こんな風に、裏に回るといろいろあるんですよー、という小話でした。

|

« 生理痛、月経前症候群(PMS)の治療方法 | トップページ | 食べ慣れた食材を食べると言うこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1287345/36272886

この記事へのトラックバック一覧です: ニキビ治療に腰痛の薬を処方する、のは確かに変だけど・・・:

» Twitter Trackbacks []
[続きを読む]

受信: 2010年8月21日 (土) 03時13分

« 生理痛、月経前症候群(PMS)の治療方法 | トップページ | 食べ慣れた食材を食べると言うこと »