« 第1回 東洋医学が分かりにくいのはワザと分かりにくくしているから | トップページ | 施術の後でだるくなります »

2010年2月25日 (木)

第2回 陰陽五行説って何?役に立つの?

東洋医学の本を読むと、まず最初に「中国の古代哲学に陰陽五行説というものがあって」ということが書いてあります。

木、火、土、金、水という5つの要素で体を説明するという考え方です。

よくできたテキストであれば「現実とは相反する矛盾点もある」ということが書いてあるんですが、そうしたこともなく、いきなりこの説明をはじめる入門書も少なくありません。

でもね、矛盾するに決まってるんですよ。なぜかというと、そもそも、東洋医学とこの陰陽五行説には何の関係もないから!(あーあ、言っちゃった)

陰陽五行説の成立と、中国で中医学と言われる臨床データの収集が始まった時期を比較すると、それはもう、明らかなんです。

臨床データの分析が始まった頃に、陰陽五行性という考え方は、まだ存在していないんです。つまり、この体の働きを陰陽や五行(要素)に当てはめる、というのは、後付けなんですよ。

あくまでも、臨床データが先にあって、その分析のために、当時流行していた哲学の概念を応用した、だけであって、哲学の概念に照らし合わせて体を分析したんじゃありません。

哲学論から始まった治療方法なんて、怖くて誰も受けませんよ(笑)

ですから、多くの方が誤解しているようですが、東洋医学だろうと西洋医学だろうと、成り立ちに大した違いはありません。

病気・怪我の人がいる

いろいろ試行錯誤して治療してみる

治った人と悪化した人・死んでしまった人のデータを集める

一定量のデータが集まったら分析して分類を考えてみる

臨床(治療)に再度適用して分類の正確性を見直す

以下繰り返し

このように、東洋医学も、西洋医学と同様に、あくまでも臨床のデータ分析から始まった医学なのです。

しかし、第1回目に記載したとおり、東洋と西洋では、情報公開に関する考え方が根本的に違いました。

東洋では「役に立つ情報は自分と自分の身内にだけ秘めておいて広く知らせない」「秘伝を公開したら皇帝や王族・将軍が自分を不要になって殺してしまうのではないかという恐怖」もあったわけで「秘伝を分かりやすく知らせることにメリットは無い」と考えたわけです。

蛇足:西洋では、隠していても絶対神が知っていてばれるから、秘密は公開しよう、という考え方だったと言います。ですので、これは宗教観の違いからきているのかもしれませんね。

そこで、臨床データそのものや、分析の前段階のデータは公開せず、分類結果だけを当時流行していた哲学の言葉に置き換えて公開したわけです。

  • 目の下のたるみが激しい人を解剖してみたらの腎臓が腫れている人もしくは腎臓の色が薄い(血流が悪い)人が多かった。
  • 水の排出が上手くいっていないと思われる(むくんできた)人は、目の下のたるみが大きくなることが多かった。
  • ひどい便秘や下痢がはじまると、目の下のたるみの直下のシワの部分が黒ずみ始める人が多い。

という分析結果があったとします(というか、あります)。あくまでも、大量に集めたデータを分析したという結果、言いかえれば「そういう確率が高い」という結果で、100%ではありません。しかし、診断のヒントにはなります。

でも、このデータは公開せずに、

  • 顔に虚が表れております
  • 腎の虚がすすんで心(小腸のこと)が暴走しはじめたようです

とか言うと、神秘的で哲学的ですよね。

というわけで、東洋医学の入門書を読む時には、陰陽五行説で「なんじゃこれ?」と思ったら「どういう臨床データを集めてこういう分析になったのかな?」と裏を読んであげることが大切です。

とはいえ、歴代皇帝・将軍の絶対権力の粋を尽くして、数1千年もかけて集めた大量の臨床データの分類です。

ですので、陰陽五行説が先行しているのではなく、あくまでも臨床データが先行している、という基本の基本を忘れず、表面にあらわれている症状の根本原因を分析する手助けとして使う分には、とても有用だと考えています。

|

« 第1回 東洋医学が分かりにくいのはワザと分かりにくくしているから | トップページ | 施術の後でだるくなります »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1287345/33534212

この記事へのトラックバック一覧です: 第2回 陰陽五行説って何?役に立つの?:

« 第1回 東洋医学が分かりにくいのはワザと分かりにくくしているから | トップページ | 施術の後でだるくなります »