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2010年1月 8日 (金)

鍼(はり)って何で効くの?

おはようございます、裏番長です。


マッサージは直接皮膚や筋肉を広範囲に刺激するので体が楽になる仕組みがなんとなく分かるけど、鍼とかお灸ってどういう原理で効果を出しているのか分からない、というご質問がよくあります。


ものすごく単純化すると、西洋医学では、鍼はとても細い鍼を刺してほんの少しだけ傷を付けることで、体が傷を治そうという自然治癒力を引き出すことで治癒につながる、と考えられています。


でも、これだと、手首に鍼を刺して腎臓の調子が良くなる理由が全く分からないですよね。


WHO(世界保健機構)は鍼の適用疾患として49種類の疾患を挙げています(※1)。WHOだけではなく、イギリスやアメリカの医学学会は、この適応疾患を全面支持をしています。


49疾患のうち、筋肉疲労(肩凝りや腰痛)、頸肩腕症候群、線維筋痛症などのような運動系の疾患は12。残りの37疾患は内臓に関わる疾患です。


東洋医学では気の流れを整えているから効くといった説明をしますが、そんなこと言われても怪しいと感じる人が多いでしょう。


簡略化しすぎとのおしかりを受けるかもしれませんが、鍼灸マッサージ協会の小冊子で書かれている内容を、極めて単純に説明をしたいと思います。


身体の中を張り巡らされている神経は、全てが脊椎(せぼね)につながっています。手の先の神経も、足先の神経も、どこかから独立してぽつんと存在しているのではなくて、脊椎(せぼね)から出ているのです。


また、内臓も、脊椎から出ている神経によって動いています。


皮膚に刺激を与えると、神経をとおって刺激が脊椎に届き、脳に伝わり、刺激を理解するわけです。


そして、この時、刺激は脊椎から脳に一方向だけに流れるのではなく、脊椎から出ている他の神経にも伝わっています。


つまり、脊椎という大きな管を通して、皮膚の刺激が内臓に伝わるというわけです。


これが、鍼や灸、指圧、あん摩といった皮膚の刺激によって内臓疾患が回復する仕組みです。


昔はCTスキャンもMRIもなかったので、膨大な臨床データをかき集めて、どの神経がどこにつながっているのかということを分析したようです。この分析結果が、東洋医学では経絡(けいらく)と言われている、刺激が流れる経路です。


では、CTもMRIも無かった時代に集めたデータに信憑性があるのでしょうか?


私自身のケースを例に、少し考えていただきたいと思います。


私は、肩が強くひっぱられるという怪我をした際に、頸椎(首の骨)と胸椎(背骨)から出ている神経の一部が切れてしまいました。


神経が切れてしまったので、肩胛骨の内側にある筋肉に刺激が行かなくなり、肩を外に回すことができなくなりました。また、上腕を外に回すこともできなくなりました。


ところが、おもしろいことに肩や肘の可動障害だけではなく、胃の不快感に悩まされるようになったのです。


全身の検査をしました。でも、背骨の神経の異常以外何も見つかりません。それなのに、胃カメラ検査をすると、胃の伸縮が上手くできていません。


このことから、私が障害を受けた頸椎・胸椎の神経のどれかが、胃の伸縮をつかさどっていたか、もしくはつかさどる神経につながっていたのだということが分かります。


現代の検査器具のお陰で、私が損傷したのは頸椎2番3番、胸椎5番から出ている神経であることが分かっています。


もちろん、昔は分からなかったでしょう。しかし、肩胛骨の内側と上腕の外側をつかさどっているものが胃につながっている、ということは分かります。


私が上手に動かすことができない辺りには、脾兪(ひゆ)と呼ばれる、胃腸機能回復のための有名なツボがあります。


脾兪(ひゆ)は数千年前に中国で発見されています。数千年前の中国にも、私と同じような人がいたのかもしれませんね。


普通の人は、脾兪(ひゆ)という胃につながっている神経経路をピンポイントで刺激することで、胃に刺激を届けることができるわけです。


このように、東洋医学で「経絡(けいらく)」と呼ばれているルートは、治療の現場の情報を収集分析してきた知識の集大成であって、感覚論ではないのです。


また、近頃は、皮膚の一部に電気刺激を流し、その刺激の伝達経路を測定することでこの経路をより効果的に測定し、ツボの存在を証明することができるようになりました。


東洋医学では主要な経絡は14本あると考えられています。そして、この経絡はこうした測定の結果、概ね正しいと考えられています。


※1 WHO(世界保健機構)が定める鍼の適用49疾患
■神経系疾患
神経痛、神経麻痺、痙攣、自律神経失調症、神経症、心身症、脳卒中後遺症、頭痛、不眠症、眩暈(めまい)、肩こり
■運動器系疾患
関節炎、関節症、肩関節周囲炎(五十肩)、関節リュウマチ、筋・筋膜炎(筋肉リュウマチ)、頚筋強直、頚肩腕症、むち打症、捻挫、腱鞘炎、腰痛症、外傷の後遺症
■循環器系疾患
心悸亢進(心臓神経症)、高血圧症、低血圧症、動脈硬化症、動悸、息切れ
■消化器系疾患
口内炎、舌炎、歯痛、胃腸炎、胃アトニー、胃下垂症、胃酸過多症、胆石症、肝機能障害、肝炎、十二指腸潰瘍、下痢、便秘、痔疾患
■呼吸器系疾患
風邪(カゼ)、風邪(カゼ)の予防、咳嗽(せき)、鼻炎、扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎、気管支炎、気管支喘息
■泌尿器系疾患
ネフローゼ、腎・尿路結石、膀胱炎、尿道炎、前立腺肥大症、陰萎症、遺精、性機能障害
■内分泌系疾患
尿崩症、バセドウ病、糖尿病、橋本病
■新陳代謝疾患
貧血、脚気、痛風
■皮膚科系疾患
皮膚炎、蕁麻疹、ヘルペス、肝斑(しみ)、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎
■婦人科系疾患    
不妊症、月経不順、生理痛、冷え性、更年期障害、妊娠悪阻(つわり)、胎位異常(逆子)、乳腺炎、乳汁分泌不全
■小児科系疾患    
疳の虫、夜啼症(よなき)、夜尿症、自家中毒症、小児喘息(ぜんそく)、虚弱体質
■眼科系疾患    
仮性近視、眼精疲労、眼瞼縁炎(ただれめ)、麦粒腫(ものもらい)、結膜炎、フリクテン、弱視、涙管炎
■耳鼻科系疾患    
耳鳴り、難聴、メニエール病、鼻炎、中耳炎、鼻出血(はなぢ)、副鼻腔炎(蓄膿症)

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コメント

読み返して、ものすごく大切なことを書き忘れていることに気がつきました!

この記事は、私の体を例にしている箇所以外は「全日本鍼灸マッサージ協会」発行の「鍼灸マッサージの原理を探る」という小冊子の要約です。

一部をここで読むことができます
http://www.halikyu.com/tubo/harikyunogenri.pdf

これを書かずに投稿しちゃったら、著作権法違反ですね。

記事の頭に書いていたはずなんですが、削除した版を投稿してしまったようです。

日本鍼灸協会には、大変も申し訳ないことをしました。

記事を書き直してしまうと、過去に読んだ方の目に留まらない可能性があるのでコメントとして残します。

なお、こうした団体や協会は、経絡や気という概念を使わずに説明する資料以外にも、さまざまな説明資料を作成しているのですが、大半が鍼灸師向けで難解なため、分かりやすい資料がほかにも見つかりましたら、またまとめたいと思います。(その際には出展がもれるような初歩的なミスをしないように気をつけます。)

投稿: 前田あみ | 2010年1月 9日 (土) 15時25分

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