腎を強くしてアンチエージング
東洋医学では、腎は「中心に集める」という力の源だと考えています。つまり、腎虚になるということは、中心に集める力が弱くなり、膨張していくということです。
肉体という面でみると、体を中心に引き締める力が弱くなり、膨張していく(=太っていく)という特徴があります。
また、精神面で見ると、自己確信が拡散していく(=物事を畏れるようになる)という特徴があります。
そのため、腎虚の人は熱証(熱がこもりやすい人)・寒証(熱を作れない・逃げていく人)にかかわらず、横柄な態度を取る人は少なく、比較的腰が低い、ふくよかな人が多いようです。
東洋医学では、人は、年を取るに従って、腎が虚になりやすいため、年齢とともに太りやすくなり、また、精神面でも丸くなる、と考えています。また、虚に傾いた腎を実に近づけることで、加齢のスピードをゆるやかにすることができる、と考えています。
腎が虚に傾き始めると、下半身に不調が出やすいようです。腰痛をはじめ、脚が弱くなる・むくむ・ほてる・しびれる・痛む、下腹部に力が入らないという特徴があります。足のむくみや足の裏の汗が特徴的です。排尿のトラブルを抱える人も多いようです。
下半身のトラブルが進むと、少しずつ不調が上半身にも広がり、かすみ目やめまいなどがはじまります。
症状が進んでから対策をするのは大変なので、まずは下半身が弱くなったな、と気がついた段階で「お、このままだと急激に歳を取りそうだ!」ということに気がついて対策をすることが大切です。
熱がこもりやすい人(熱証)は、竜胆瀉肝湯、杞菊地黄丸がよいようです。
反対に熱を作り出す力が弱く、体温が低くなってきた、常に手先足先が冷たいという人(寒証)は、八味滋黄丸、が合っていると言われています。
昔の日本人は、足腰の弱りを感じ始めると、湯治をしていたようです。これは、生活の中で培った知恵なのでしょうね。
でも、現代社会では、長期の休みを取って温泉旅行というのは難しいと思うので、近くの銭湯や岩盤浴などで体を温め休息を取り、また、体や心が引き締まってきたな、という実感が出てくるまで、塩分と動物性たんぱく質を控え、丹田に力が入る運動をするのが一番だと思います。
基本的に、運動は正しいフォームで行えば、全てが丹田に力が入るはずなので、何でも良いと思います。(運動で体重を落とすことが目的ではなく、下腹部に力を入れることができるようになる、体に気力がみなぎるようになるという目的を忘れずに!)
また、もちろん、腎を強める経絡に鍼や温灸などで刺激を与えることも、加齢を加速させないためには有益です。腰痛の治療、肩凝りの治療というだけではなく、素敵に年齢を重ねるという点からも、鍼灸ができることはたくさんあります。
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