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2009年12月 1日 (火)

筋硬計は便利だけど、人と数値を比較しても意味無いですよ

おはようございます、裏番長です。今日は、少しお堅い話しです。

筋硬計ってごぞんじですか?

筋肉の固さを測る(ということになっている)測定器です。


この1-2年で取り入れる鍼灸院やエステが増えています。


筋肉の硬さを客観的に数値化できるというのは、便利な反面、数値が一人歩きすることもあって、とても危険なのだな、という出来事がありました。


立て続けに2人の線維筋痛症の方が、この機械を使って測定をしたら測定値が平均程度で「そんなに凝ってないから、そこまでの激痛は気のせいですよ。気の持ちようですよ。」と言われた、と言うのです。


メーカーの資料によると「筋肉の弾性(硬度)を客観的に数値化できる測定器 であり、筋の硬度差により筋肉の疲労度、筋肉の弾性 の変化を測定することを目的として作られています」とあります。


ある特定個人の「筋肉の硬さの変化」や「筋肉の硬さの違いによる疲労の比較」をするための測定器であって、他人との比較を目的にして作られた物ではありません。


圧測定のためにスプリングを利用しているため、体脂肪が多い方は数値が低めに(凝りが少なめに)でます。肩周り、首周りは骨格が細めの方の方が圧が高め(コリが多め)に出ます。


つまり、他人との比較には何の意味もないのです。また、施術の直後や運動の直後には数値が高めに出る傾向があり、中長期的な体質改善のサポーターとしての意味はあっても、施術・運動の前後での変化の測定には意味がない機械でもあります。


また、そもそも、線維筋痛症の痛みというのは「コリ」だけで発生するのではありません。痛みの箇所とコリの箇所が必ずしも一致しません。(コリがない、という意味ではないです。)ですから、筋硬計の数値の高低では何も分からないはずです。(線維筋痛症の悪化予防として疲労度を定期的に確認すると目的では意味があるとは思います。)


少し危機感を感じて「筋硬計」という言葉でネットを検索をしてみました。

「平均25程度」「30を越えれば立派な肩凝り」「こんなに数値が高い人、他にいなかった」「たくさんの人を測ったけど、君が一番高かったと言われた」など、Google検索結果の上位を占めるのは、他人との比較に意味があると誤解を与えそうな記事が大半。


正確な情報を発信している記事は、どうしてもお堅い記事が多いので、検索結果の下の方に出てきてしまうんですよね~。


筋肉にアプローチをする施術の業界は、数値化が難しく、施術者が指先の感覚で左右の筋肉のバランスや時系列の変化を確認しながら施術をしてきました。この感覚値をお客さま、患者さまに伝えるのは難しいという問題がありました。


ですから、この筋硬計は、電子経絡測定器に続く、画期的な製品であるということは十分理解しています。しかし、道具は、使う人(や情報を発信する人)の倫理観と知識の正確さによって、凶器にもなります。


筋硬計、この秋から爆発的に売れているそうです。医療機器の卸メーカー情報では、来年初までに某大手ボディケアチェーン店が全店に 配備する予定とのこと。鍼灸院を中心に使われている現時点でさえこうなので、解剖学をしっかりと学んでいない方が使うと、骨格筋の構造が全く違う人同士を 比較してしまいそうで、心配です。


わたし自身、医療分野ではないものの、一応、なんちゃって国家資格者として20年間仕事をしてきました。ですから、国家資格者の責務、発言に対する責任の所在が、根本的に違うということは十分理解しています(勤務先で会計不正があった時に、会計士は会計士ではない財務コンサルタントよりも著しく重い処分を受けました。国家資格を名乗って仕事をするというのは、いざというときに、それだけの処分を覚悟して仕事をするということだと、しみじみと実感する出来事でした)。


資格者ではない方には、法的な罰則や規制はありません。筋硬計の数値結果を他人と比較する発言をしたり、他人との比較に意味があるかのような記事を書くことも自由です。記事の与える影響に責任を持つ義務がないことも理解しています。


(だからこそ、資格を持たずに一流の専門家として働いている方が、著しく高い倫理観を自らに課していることも良く理解しています)。


国家資格者には、法的規制もあれば、各業界団体が定める倫理綱領もあります。ですから、どうか、最低でも、鍼灸師、按摩師、柔道整復師といった医療従事者の方々には、売上や集客という側面だけではなく、自らの職業的専門家としての良心に従い、誤解を与えるような情報発信は慎んでいただきたい、と切に願います。


「あなたの肩凝り、平均以上?」と書いてある鍼灸マッサージ院にメールをしてみたら「メーカーのキャッチコピーをそのまま転記した。」「考えてみたら軽率だった」とのことで、翌々日には直っていました。なので、深く考えずに書いている方も多いのだろうな、とは思います。


ただ、どれほど気軽に書いたことでも、白衣を着た「先生」の発言は重いです。そのことを覚えておいていただきたいと思います。正しい情報を発信する方が増え、誤った情報や、誤解を与えかねない情報が多少あったとしても、読み手が比較検討をすることができますように。

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