その前提は、まだ有効ですか?なぜ、なぜ、なぜを繰り返し続ける
こんにちは、裏番長です。
今日は、旧ブログで好評だった記事を紹介したいと思います。
諸外国に比較して日本で伝統療法の評価が低いのは、明治時代に始まった国策(富国強兵政策)が原因であると考えられます。(「漫画ハリ入門 楽しくわかる経絡治療」医道の日本社より)
代替医療や伝統医療は、西洋医学と比較すると、治療・治癒に時間がかかります。(この記事では、ハーブやホメオパシーのことは西洋伝統医学と呼び「西洋医学」とは区別します。)
戦地で痛みをおさえて戦わせる、銃撃・爆撃による怪我を縫合して戦わせ続けるためには、伝統医療よりも西洋医学の方が有用です。そのため、明治政府は伝統医療の従事者を西洋医学に転向させる国策をとりました。
明治新政府の軍医であった石黒忠悳(いしぐろただのり:軍医であった森鴎外の上官)は「私の手で漢方を撲滅します」とまで発言していたと伝えられています。西洋医学の考え方を急速に浸透させるために、漢方・東洋医学は医学的根拠がない「民間療法」として取り扱うことで、国力の増強に邁進したのです。
ここで気がついていただきたいのは「明治政府が西洋医学に突き進まなければいけなかった原因」と「その原因・前提が現在でも有効なのか」という点です。
「急進的な富国強兵政策の下で伝統医療を排除し、有能な治療家に西洋医学を学ばせる」。このことは、当時の国の政策として、理にかなっていますし。国益だったのでしょう。
ところで、現代はどういう時代なのでしょうか?
急性外傷等に対する西洋医学の貢献は疑いようもありません。
しかし、ストレス過多による免疫力の低下との関連性が疑われる、症状が変化しやすい疾病が多い現代において、原因が明確または症状にパタンがある疾病の治療を得意とする西洋医学偏重の政策を継続しなければいけない理由があるのでしょうか?
代替医療は症状ではなく、その人の体質そのものを見るため症状が変化したり原因が不明でも効果を上げやついという特長があります。ストレス過多による免疫力の低下との関連性が疑われる疾病においては、代替医療が貢献できることが多いのです。
社会環境が大きく異なり、疾病の原因も大きく異なる今日において、明治時代に日本政府が採用した政策に固執しなければならない事情が何かあるのだとしたら、それは既得権を疑わざるを得ません。
明治時代から脈々と続けてきた、医療制度、医療保険制度、医師の教育制度、一般人に対する衛生概念教育制度があります。これに手を加えることは並大抵ではありません。
医療分野ではピンと来ないと思いますので、別の例を出してみます。
日本では、戦後の復興のために性別による社会責任の分担を採用しました。(男性は会社で猛烈に働き、女性がそれを支えること。)
このことも、当時の日本政府・日本人が「最適である」と考えて採用したことであって、積極的に「女性を差別しよう、さげすもう」として採用したわけではないでしょう。しかし、結果として、戦後復興を果たし、役割分業が必須ではなくなった現代のいても、まだ完全には是正されていません。
一度、国を挙げて採用した仕組みを変えるのは大変なことなのです。
しかし、結婚出産後にも女性が働き続けるためには、ムギ畑やワーキングマザースタイル(WMS)のような地道なコミュニティによる情報交換が少しずつ浸透し、メディアに取り上げられ、政策にまで影響を与えていきました。この変化の胎動が大きくなりはじめたタイミングで、勝間和代のような時代のアイコンが出てきたことで、変化が加速していることを感じています。
伝統医療と西洋医療の統合医療という分野では、まだ変化が起きているという兆しすらありません。しかし、あきらめずに、ブログや患者同士のネットワークがムギ畑やWMSと同じような役割を果たしていけたらと思っています。
まずは、このブログをお読みの方だけでも、日本で伝統療法の権威を落とそうとした背景には
- 戦争での勝利という当時の大義名分があり、
- その前提は既に現代日本では崩れ去っていると言うこと、
- それどころか、知恵と知識が主要財産である現代社会においては、日本独自の知識と技術を消し去ることは、国益と反する可能性も高いのだ
ということに、気がついていただければ嬉しいです。
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